無題(昨夜星辰昨夜風) 李商隠 8 


無題 (昨夜星辰昨夜風)  恋愛詩人・李商隠 8 
李商隠 8 無題 (昨夜星辰昨夜風) 題をつけられない詩。
秘められた恋、許されない恋。いつの世も後に残るのはせつない思いか。

七言律詩 無題
昨夜星辰昨夜風、畫樓西畔桂堂東。
身無綵鳳雙飛翼、心有靈犀一點通。
隔座送鉤春酒暖、分曹射覆蝋燈紅。
嗟余聽鼓應官去、走馬蘭臺類轉蓬。

無題

昨夜星辰昨夜風、畫樓西畔桂堂東。
昨夜、大空に星が瞬き、そして、昨夜、夜の街に風が吹いていた。美しく彩られた高楼の西の方、微風が吹けば柱や梁からほのかな香りが広がる豪華な座敷の東側でのことであった。

身無綵鳳雙飛翼、心有靈犀一點通。
そこであなたに会えたとはいいながら二人並んで飛び立つつがいの鳥だけどあの鳳凰の彩り鮮やかに見せびらかせることはできな。心は神秘的な媚薬で一点に集中したように通じ合っている。

隔座送鉤春酒暖、分曹射覆?燈紅。
宴はたけなわ、やがて余興のお座敷遊びに移った、握っているのを他の人が言い当てる蔵鉤の時、春の花びらを浮かべた紅酒で暖かくなった。組み分けをやりなおして盆下の品物当ての遊びに移るころは明りの蝋燭は、視線を合わせることもふせた隠された恋の焔に赤く揺らめいていた。

嗟余聽鼓應官去、走馬蘭臺類轉蓬。
ああ、それにしても日が変わった時の音が聞こえた、役所仕事のためにここを去らないといけない。馬を走らせ秘書省へ向かう私は、秋風に毬のように転がりまわる草のようなものだ。



題をつけられない詩。
昨夜、大空に星が瞬き、そして、昨夜、夜の街に風が吹いていた。美しく彩られた高楼の西の方、微風が吹けば柱や梁からほのかな香りが広がる豪華な座敷の東側でのことであった。
そこであなたに会えたとはいいながら二人並んで飛び立つつがいの鳥だけどあの鳳凰の彩り鮮やかに見せびらかせることはできな。心は神秘的な媚薬で一点に集中したように通じ合っている。
宴はたけなわ、やがて余興のお座敷遊びに移った、握っているのを他の人が言い当てる蔵鉤の時、春の花びらを浮かべた紅酒で暖かくなった。組み分けをやりなおして盆下の品物当ての遊びに移るころは明りの蝋燭は、視線を合わせることもふせた隠された恋の焔に赤く揺らめいていた。
ああ、それにしても日が変わった時の音が聞こえた、役所仕事のためにここを去らないといけない。馬を走らせ秘書省へ向かう私は、秋風に毬のように転がりまわる草のようなものだ。

昨夜星辰昨夜風、畫樓西畔桂堂東。       
昨夜、大空に星が瞬き、そして、昨夜、夜の街に風が吹いていた。美しく彩られた高楼の西の方、微風が吹けば柱や梁からほのかな香りが広がる豪華な座敷の東側でのことであった。
○星辰 星座。ほし。 ○畫樓 美しく彩られた二階建ての建物、高楼。 ○西畔 すべてのものの側辺を畔という。西側に寝台を置くもので、西とか窓が出る場合、男女を連想する。 ○桂堂 その部屋の柱や梁に高価な桂材を使用してある座敷をいう。桂材は香木。李白の「長門怨」其二(桂殿長く愁いて春を記せず。)、桂柱、桂堂、桂香などがある。      

身無綵鳳雙飛翼、心有靈犀一點通。
そこであなたに会えたとはいいながら二人並んで飛び立つつがいの鳥だけどあの鳳凰の彩り鮮やかに見せびらかせることはできな。心は神秘的な媚薬で一点に集中したように通じ合っている。
○綵鳳 神鳥。鳳凰は美しい綾絹のような羽をもつ。綵は五色に彩られた絹織物。 ○靈犀一點通 靈は神妙な、不思議な、妖しい。犀は大型の哺乳類動物。皮で鎧を作り、角は精力剤とされる。これらにより回春薬ということか。薬剤により、心が一本になる。一点に集中して心が通じ合う。
隔座送鉤春酒暖、分曹射覆?燈紅。
宴はたけなわ、やがて余興のお座敷遊びに移った、握っているのを他の人が言い当てる蔵鉤の時、春の花びらを浮かべた紅酒で暖かくなった。グループをやりなおして盆下の品物当ての遊びに移るころは明りの蝋燭は、視線を合わせることもふせた隠された恋の焔に赤く揺らめいていた。
○送鉤 鉤は蔵鉤(ぞうこう)という遊戯。二組に分かれて、その一組のものが握り拳を出し、その中の一人がものを握っているのを他の人が言い当てるお座敷ゲーム。 ○分曹 曹はグループ。グループ分けをする。 ○射覆 覆われたものを射あてる。盆の下に品物を隠し置きそれを言い当てる遊び。視線を合わせるのをわからないようにすることとかけている。

嗟余聽鼓應官去、走馬蘭臺類轉蓬。
ああ、それにしても日が変わった時の音が聞こえた、役所仕事のためにここを去らないといけない。馬を走らせ秘書省へ向かう私は、秋風に毬のように転がりまわる草のようなものだ。
○鼓 時を告げる太鼓の音。 ○蘭臺 政府の記録局文庫秘書省の雅称。李商隠は839年任じられている。 ○轉蓬 枝が四方に伸びて広がり、飢えで合して毬状になったころ、秋風にあうと根こそぎ吹きちぎられ手すさまじい勢いで転がっていく植物のこと。人が当てもなく流浪することの比喩に使用される。杜甫「野人送朱楼」(この日新しきを嘗めて転蓬に任す。)に使う。また、ここの意味は、秋風に毬のように転がりまわる草と書いたが「役所で一番のプレイボーイだ」ということだ。

無題
昨夜の星辰 昨夜の風、画楼の西畔 桂堂の東。
身に綵鳳双飛の翼無きも、心に霊犀一点の通う有り。
座を隔てて送鉤すれば春酒暖かく、曹を分けて射覆すれば蝋燈紅なり。
嗟ああ 余が鼓を聴き官に応じて去り、馬を蘭台に走らせて転蓬に類(にる)を。
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